o0753047313083311358_th

Fanettiとの出会いは、2012年2月、シエナの南部で、1200年代より残る城壁や古い建物、なんとも風光明媚な街モンテプルチアーノの街で、造り手が一斉に集うイベントに参加したときでした。イタリアにもモンテプルチアーノにも、星の数ほどのワイナリーがあり、あの日も、何十もの蔵元の試飲をしなが ら、なかなかそう簡単には、心がときめく蔵には出逢えないものだな〜と思っていました。
私の心ときめく蔵とは、人工的な酵母や甘さなどがなく、ブドウ本来の果実味があふれ、過度の酸化防止剤まみれになっていないワインをさします。そんな中、口に含んだ瞬間、昔からの造りで飾り気のない、そして深い歴史を感じる味わいに、きゅんとなりました。
その後、畑と蔵を訪問させていただくことに。
1700 年代よりモンテプルチアーノに暮らし、ワイン造りをはじめとした農園を営んできたファネッティ家。モンテプルチアーノの町の入口、サンタニェーゼ教会のすぐ向かいに、たたずむカンティーナ。1921年 当主アダモ ファネッティによって、この地でできるワインを「Vino Nobile di Montepulciano」、昔から栽培してきたサンジョヴェーゼを「Prugnolo Gentile プルニョーロ・ジェンティーレ」として正式に名づけられたそうなんです。

 

ノービレの始祖がこの蔵だったなんて!(驚)エリザベッタ曰く、当時ブルネッロと名前を付けたビオンディ サンティと親睦の深かった祖父が、張り合って付けたのが始まりだという。その後 DOC として正式な名前になるまでは彼らのワインだけが、この名前であったという歴史を聞いて驚きました。
ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノは、イタリアのDOCGワインの中で最初に認定された3つのうちの一つ(1980年7月、他2つはバローロとブルネッロ・ディ・モンタルチーノ)であり、DOCGの最初の帯封が印刷されたのは、実はヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノでした。
ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノは、古くは2000年前の文献に「モンテプルチアーノの甘美な命の酒」として登場しました。その後も、「モンテプルチアーノは、あらゆるワインの王」とメディチ家に仕えていたフランチェスコ・レーディが著書で明言し(17世紀後半)、フランスの作家アレクサンドル・デュマも、このワインについて触れています(19世紀中頃)。ノービレ(高貴な)という名称の由来は、数世紀にわたり、貴族や聖職者がこのワイン造りに関わっていたことによります。ノービレという文字は、18世紀後半、ワインをシエナに運んだ際の旅行記にも登場しています。
現在はアダモの孫娘に当たるエリザベッタによって、農園全体の運営を含め、ブドウ栽培ワイン醸造を行っています。彼女の農園は、祖父より受け継ぎ、守られてきました。畑での作業、肥料は基本的に使用せず、農薬についても極力使用しない、手作業中心の栽培を貫いています。
土壌はこの地域全体で共通している、砂質を含む粘土質(Tufo)土壌、小石、石灰を強く含んでいることも特徴的。畑の標高は 340~400mに位置。DOCG のエリアの中心にあるのも、必然と言えます。プルニョーロ、カナイオーロ、マンモーロ、トレッビアーノ トスカーノ、マルヴァージア ビアンカ、樹齢は 30~40 年。

DSCN1152_th DSCN1150_th

醸造については、さらに徹底した手法を守り抜いています。6000L を越える大型のセメントタンクにて 2 週間ほどのマセレーション。当然のことながら温度管理や酵母添加は行っておらず、熟成はモンテプルチアーノの町の地下深く続く、トンネルのようなカンティーナにて行われます。
昔から使い続けている大樽は、30 年、古いものは 60 年以上現役の樽もあり、長い熟成を行っています。ワイン造りは、基本的に1920年代、アダミおじいちゃんの時からほとんど変わっていないそうです。
DSCN1162_th

エリザベッタの自宅はカンティーナの上

ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノの規定では、収穫の翌年の1月1日から最低2年間の熟成が必要(リゼルヴァは最低3年)だけど、エリザベッタ曰く、「ノービレを造るのに一番大切にしているのは、時間なのよ。大樽の中で少なくても3~4年、プルニョーロの持つ厚い果皮から抽出した強いタンニンが柔らかくなるため、そして熟成によって生まれる奥行きや香りが出てくるには、最低限4年必要だと。だというのにDOCGなどの認定は短くなる一方、、、。」変わらない醸造を続けるとは、経営を考えると 実際はとても難しいことだと。しみじみ思う私でした。

10717573_708833812526349_1560764490_n

そして、もう一つの魅力ともいえるのが、地元モンテプルチアーノの町で昔から愛されているスフーゾ(量り売り)の雰囲気そのままのビアンコとロッソを、少量ながらボトル詰めされています。
大型のセメントタンク、野生酵母のみで醗酵を終えたビアンコ、ロッソはノービレに含まれない区画の果実を用いています。使わずに空いている大樽を使い熟成しており、なんとも味わい深く、どこか懐かしささえ感じる味わい。気取らない旨みと染み出す味わい。何かを突き詰めることでは辿り着かない、当たり前に美味しいモノ、変わることなく続けてきた事の大切さ、を再発見させてくれるかのよう。

10719209_708833815859682_1228338891_n

白は、マルヴァージア、大型のセメントタンクにて短期間のマセレーションを行い、野生酵母による醗酵。十分に熟した果実感と、旨みたっぷりな雰囲気、当たり前のように美味しいビアンコ サンタニェーゼ。そして、赤はサンジョヴェーゼをベースに造られるロッソ ファネッティ。何とも良心的な値段であるにもかかわらず、大樽で2年以上も熟成の時間をとっているという、とんでもないワイン。「だって大樽が余っているから、、。空の状態にしておくより、ワインを入れておいたほうが樽にとってもいいことだし!」という何とも単純な理由から、ありえないクオリティとコストパフォーマンスを感じていただけると思います。
これから秋、冬と大活躍しそうな Fanetti ですが、温度変化でも、香りや旨味炸裂がかわってきます。いろいろなシーンで楽しんでいただきたいワインです。