琵琶湖の北に位置する「余呉湖」ってご存知ですか?
穏やかに佇む湖の美しさから、「鏡湖」とも呼ばれるそうです。
3万年前まで琵琶湖と同じ湖で分かれたとか。
この湖畔に位置する「徳山鮓」は、2004年にオープンし、今では予約の取れない名店として、ここの発酵食をいただきに、日本中、いや世界中から訪れる店なのです。
発酵食にとっても興味をもっているあのnomaのオーナーシェフ《レネ・レゼピ氏》も昨年いらしたとか。発酵の商品開発のお仕事で、滋賀県高島を訪れるようになって、噂を聞きずっと行きたかったここへ、今回お仕事をご一緒させていただいた河村さんと平井さんと伺わせていただきました。
店主、徳山浩明氏は、余呉の町に生まれ、山の中を駆け巡る少年時代を過ごし、京都「河繁」での修行を経て再びここへ戻ってきて、日本発酵機構余呉研究所の所長だった小泉武夫東京農大教授(当時)と出会い、近江伝統の食文化である熟鮓(なれずし)をはじめ、余呉周辺の素材にこだわる料理をこの地で提供していく重要性を説かれ、「徳山鮓」を開業。自ら熟鮓をつくるとともに、地元の良質な素材を自分の足で集めて調理、提供されています。滋賀の発酵食文化の第一人者なのです。
《 琵琶鱒(びわます)のお刺身》
《余呉湖の天然鰻の蒲焼》はえ縄釣りで自分たちで調達したという天然の鰻の蒲焼。山椒の実がたまらなく香り立つ美味しさでした。天然ならではの、脂のさっぱりさがいくつでも食べれそう。
《白ネギの上に琵琶鱒の蒸し物》
さっぱりしているようで、ミョウガの下には、ツキノワグマ名残熊の千切りが乗っていて、強烈な旨味とジューシーさが口いっぱいに広がります。はじめて口にしたクマ肉でしたが、冬には熊鍋もあるらしく、次回は絶対冬に来たいですね。
《鯖のなれ鮓》奥深い旨みの鯖。吉田牧場カチョカヴァロとトマトピューレの相性が抜群。感動の1品
《天然鮎の塩焼き》
天然鮎の塩焼きはまるで自由に泳いでいるようなフォルムに、3人で思わず歓声があがりました。
低温でじっくり焼き上げておりますので、骨までしっかり食べることができます。
その後のプレートは、熊肉、鹿肉、イノシシのミックスパテ。ワイルドです!
その右側がミョウガの蕾。はじめて食べました。
猪の生ハム
きのこのグリル
などなど。とにかく至福です。
《鮒鮓(ふなずし)地蜜のせ》そしていよいよ、コメ発酵1年間の鮒鮓(ふなずし)!
フナを用いて作られる「熟れ鮨(鮓)」として有名で、滋賀県を代表する郷土料理です。
もともとはタイの北部から中国雲南省にかけての地域に起源をもち、今から約千四、五百年前、大陸から日本に水田稲作農業が伝わったのと同じルートで伝わったといわれます。
平安時代に編纂された古代法典『延喜式』に鮎寿司などと並んで記述が見られることからも、その長い歴史がわかりますよね。奈良時代にはすでに作られていたという日本最古のすしなのです。製法や、風味も大きく違いますが、現代の酢を用い、魚をのせた江戸時代以降の寿司のルーツではないかと言われています。きっと、日本で唯一全国関所のフリーパスを持っていた近江商人達が全国に鮨を広めたのでしょうか?妄想が広がります。
《発酵からすみ》発酵させているからか、滑らかで柔らかくねっとり。
《鮒サンドオリーブオイル》なんとも不思議美味しい感じです。
ご一緒してくださったのは高島地域雇用創造協議会の河村奈美さん。広島のご出身なのですが、高島のことをこんなに深く思って、市民に寄り添って活動していらっしゃる情熱にいつも感動します。
《余呉湖 天然すっぽん粥》
ありえないくらいのすっぽんが沢山はいっていて、思わず無言になってしまう美味しさでした。
ふわふわの卵と実山椒が決め手!
この鍋はすっぽん型のお鍋らしく。可愛らしいほっこりしたフォルムは素敵。Soup Stock Tokyoさんから独立し、雨上株式會社を高島に設立した平井俊旭さんも、もうすっかり高島人。わたしの尊敬する地域ブランディングの仕掛け人です。 http://ameagaru.co.jp/about
《鮒鮓の飯(いい)を使ったチーズケーキアイスクリーム》
結構量感はあるのに、発酵の恩恵か、胃腸もすっきり、そして、自然の恵みと発酵が一体となり体が喜んでいるような気がします。
こちらは四季折々に名物があり、湖からは天然うなぎ、フナ、ワカサギ、手長海老、すっぽんなど、山々からは熊や鹿や猪などのジビエや山菜など、1年を通じて豊富な天然物の宝庫で、メニューも変わるとか。
次は冬や春に来てみたいです。もちろん、次は宿泊で、幸せな朝ごはんまで食べてゆっくりお酒も堪能したいですね。さらに、お正月に届く貴重なおせち料理をご予約させていただきました。今回お留守番だった家族にも是非食べさせたいです。
【徳山鮓 とくやまずし】
〒659-0062 滋賀県長浜市余呉町川並1408
TEL 0749-86-4045
http://www.zb.ztv.ne.jp/tokuyamazushi/